先日、某所からのリンクを受け、
その紹介文に「JASRAC問題について感心のある人はどうぞ」なんて書かれたものだから
今回久々に”ええカッコ”すべく(苦笑)、筆をとった。
悪法も法と言われながらも数年が経ってしまったインターネットでの音楽使用に関する利用料だが
これまで私が指摘した問題点の内、わかりにくかったものについて説明したい。
ストリーム方式の話について。
『ストリーム形式の公開であれば10曲まで年額1万円(非営利の場合)』という料金規定を見て、
漠然とした疑問を抱いた方は多いと思う。
その疑問は『曲の入れ替えは自由』という部分にあるのではないだろうか。
曲の入れ替えが自由であるおかげで、実質的な使い放題状態にあることは言うまでもない。
それは非常に助かるルールではあるのだが、何かがひっかかる。
そう。入れ替え自由ということは、どの曲がどう使われたか把握できっこないのだ。
私は以前、このことについて、「売り上げを寄付する曲はどうするのだ」と述べたが
JASRACはそんなことはおかまいなしに権利だ金だと迫ってくる。
つまり、これによって
JASRACは音楽著作権を守る団体ではない
ということがハッキリしたわけだ。
もっとストレートに言うと、JASRACは単なる仲介業者なのだ。
音楽の作り手に対して
「管理が大変でしょう。中には無断で使う客もいますよ」と甘言を囁き、
聞き手から金を徴収することで成り立っている団体なのだ。
以前、彼らを「競馬・競輪のコーチ屋のようだ」と表現した理由がまさしくそこにある。
しかし冷静になってみると彼らはコーチ屋どころではなくノミ屋に近い。
なんたって、自分のフトコロは一切痛めずに、著作者よりも儲けることができるのだから。
| ここで解説。 ノミ屋とは、競馬などの公営ギャンブルや高校野球などを題材に賭け事を行なう連中(の胴元)のこと。 特に競馬などの場合、元ネタがギャンブルなだけに「どっちも不潔よ」という人が多いのだが、 ノミと公営の一番の違いは元手が不要であること。 人様が開催した競技の勝ち負けを客に予想させて、 客がハズれればそのお金がフトコロに転がり込んでくるのだ(それ以外に手数料などもあるかもしれない)。 例えば、公営競馬の開催者は客が来なければ馬を走らせた分だけ損をするが ノミ屋にその心配はない。「今日はカモが来なかったな」くらいのものだ。 細かいことを言えば、これはヤの字のつく方々の「シノギ」になっているわけで、 麻薬だ武器だといった生命に関わる物を流通させるよりは幾分マシな点はあるものの、 やはり「卑怯な商売」であることは否めないのである。 |
つまりだ。
これまで、「著作者のために」「音楽著作権を守るために」と、料金を払ってきた人は
なんのことはない、仲介業者の運営に協力してきただけなのである。
JASRACに金を払っても、自分の好きなアーティストが幸せになったりはしないのだ。
(「堀江淳がメモリーグラスのカラオケ印税で生活」なんて話もあるが、JASRACとは関係ないな)
ここまでわかってしまうと、JASRACに金を払うなんて馬鹿馬鹿しくてやってられないのだが、
連中はひと足先にそれを国に申請し、
自分たちが安定して収入を得るシステムを確立してしまったのである。
多くの音楽ファンは申請当時この愚行に気付き、反対運動を行なったが、
J「著作権は大事ですよね?」
国「そうですね」
J「じゃあ著作権を守るためのこのアイディアを公式に認めてください」
国「わかりました」
といった具合に、巧みに「著作権」を盾にして自分たちの利権を守らせてしまったのである。
成立してしまえばまさに「悪法も法」となり、手出しができない。
今後は、インターネットの特性と、著作権の本来のあり方などについて
地道に文化庁にはたらきかけるしかないのである。
これに対する反抗は法律違反、すなわち「違法」であるから、うかつなことはしない方がいい。
非営利のインターネットラジオでBGMとして曲を使うことが
本当に著作権を侵害しているのかは疑問だが、法律に守られては手が出せない。
これが営利目的ならば、
「人のフンドシで相撲とりやがって」と言われても仕方ないが、非営利だよ?
著作権ビジネスってのは本当に左団扇の生活なんだろうなと思う。
・・・・・・しかし、地下でいくらでも音楽の交換が行なわれていると言うのに
わざわざ申請した人間を管理するというのはひどい話だ。
今日も「あ、あなた11曲使いましたね!!料金が一段階アップしますよ!!」
なんてことが行なわれているのかと思うと頭が痛い。
正直者がバカをみるとはこのことである。
「地下」で思い出したが、
昨年末ファイル交換ソフトについて軽く触れたことについて質問のメールをいただいたので、
ここで改めて説明するとしよう。
JASRACは、ファイル交換ソフトで違法に音楽をやりとりする人間を見つけるために
24時間、自動で監視するシステムを運用している。
ニュースでは詳しく説明されていなかったが、IPアドレスを収集するものだということはわかった。
もちろんこれだけで個人を特定することはできない。
このネタを元に、「おたくの利用者に違法行為をしている人間がいますよ」と
プロバイダに個人情報を請求するというのが一連の流れになる。
この試みそのものは決して悪いことではないが、穴が多すぎるように感じたのだ。
まず、いわゆる「なりすまし」をどう見分けるのかということが気になる。
他人のIPになりすまして違法行為をしている人間がなかなか捕まらないというのは周知の事実だ。
もしJASRACが自分たちのシステムに酔ったまま、これを見極めようとしないのであれば
これは大変に危険なことだ。
次に気になるのが、このシステムが自動運用だということである。
自動で探しているということは特定の条件に合致したものをチェックするということだ。
それはつまり、その条件に合致してしまえば、
違法行為をしていない人間まで違法扱いされてしまう可能性があるということなのだ。
それを私は年末に、極端な例として
『[ここがあの曲で有名な桜坂です.jpg]という写真を持っているだけで捕まりかねない』
と、危惧してみせたのである。
あくまで極端な例だが、少なくとも可能性がゼロではないということは覚えておいて損はない。
ま、もちろん、プロバイダもバカじゃないからそう簡単に個人情報を流したりはしないだろうが、
今後の世論の向きによっては対応がJASRAC寄りに変化しかねないという不安はある。
最後に、全利用者のIPを問答無用で入手している場合。これは論外だ。
ファイル交換・共有ソフトは確かに半分以上が違法ファイルで埋め尽くされているようだが、
だからと言ってJASRACに利用者全てを裁く権利などありはしない。
(ひと口に「違法」と言っても著作権違反だけじゃないしね)
ついでに調べてみたのだが、
違法に公開されている音楽は、決して売られているCDと同等の品質とは言えないようだ。
CDよりはるかに音質の劣るラジオ放送から録音した物も多く、
さらにそれをmp3という形に圧縮してしまえば音質はさらに劣化する。
こうした「音源の流用」を防ぐために電子透かし技術などで対抗するという話もあるが、
それはそれとして、JASRACやレコード会社が言うところの
「CD並みの音質で非合法に配布され、誰でも簡単にそれを手に入れることができる」
というのはまったくの間違いであるというわけだ(「簡単」が間違いなのは前のコラムを参照)。
もちろん、音質を落とせば著作権に触れないのかと言えばそんなことはないが、
カセットテープの時代にはこれほど騒がなかったのになぜ今これだけ騒がれるのか、
ということを考えてみるべきではないだろうか。
まず製作者サイドからすれば、「違法コピーが出回るから売れないんですよ」という言い訳が立つ。
この言い訳は、100万枚を期待された歌手のメンツを守るのと同時に、
その歌手のタニマチに対する言い訳にもなっているはずだ。
私は知る由もないが、もしかしたら株主に対する言い訳にも使われているのかもしれない。
「あれだけウチがバックアップしたのに売れないのはレコード会社の責任だろう」と責められても
「いやいや、違法コピーのせいで売れないんですよ」と言うことができるわけだ。
そしてJASRACからすれば、
「著作権が守られていない。我々がそれを守ります」と言う事ができるわけだ。
JASRACというのは先述したように権利ビジネスで食べている。
それはつまり、
世界中の人間が一切権利を侵害しなかったとしたら成り立たない企業だということである。
そういった企業にとって違反者がいてくれることは非常に美味しい話なのだ。
(一番美味しいのは何も言わずに莫大な利用料を払う客がいてくれることだが)
先のファイル交換管理システムにしても、それを管理して給料をもらう社員がいるはずだ。
それは逆に言えば「管理する対象がなければお金にならない」ということでもあるのだ。
その商売自体をとやかく言う気はないが、
「今、なぜ、違法コピーという言葉が頻繁に使われるのか」という疑問の答えがここにある。
無許諾のカラオケ屋を一軒一軒周るよりも
ネットで違反者を探すデスクワークの方がはるかに楽なのは言うまでもないことだ。
『電子透かし』というのがどれだけ著作権保護の役に立つのか現段階では未知数だ。
元の音源が特定できても個人レベルでの違法コピー所有までは特定できない。
それこそインターネットラジオのBGMに使った奴を摘発できるくらいのものだろう。
それにしたって、一枚一枚のCDに違う透かしを入れなければ未許諾の音源かどうかわからないはずだ。
もっと実になることをやってほしいものだな。
違法コピー自体を認めろと言うつもりはないし、
音楽著作権の管理窓口としてJASRACというものが存在するのは構わない。
しかしそれを巨大な権利ビジネスにして、法律まで味方につけたあげく、
「自分たちのしていることは常に正義のためだ」という顔をしているのが気に食わないのだ。
素直に「人の作った音楽を管理するだけでボロ儲け。やめられまへんなぁ」とでも言ってくれれば
むしろ商売人として尊敬できる部分も出てくるかもしれないのだが、
彼らは自己陶酔しているのか、それとも正義だと商売がやりやすいからなのか、
決してそのスタンスを変えようとはしないのだ。
昔、漫画の中で、警察を「税金ドロボー」と呼ぶシーンを見たときはピンとこなかったが
今ならなんとなくその意味がわかるな。
人から金を巻き上げておいて正義ヅラ。
大義名分になっているはずの権利を守る仕事はおざなり。
しかも「お前ら黙ってたら違反するだろうから管理してやる」と言わんばかりの態度。
そう、JASRACは自分が正義だと強く叫ぶことで、
「お前ら利用者は違反者予備軍だ」という含みを持たせているんだよ。
これじゃあ好かれるわけがない。
暴露本の一冊も出れば、結婚したくない職業のナンバーワンになるのは確実だな。
2003年2月13日
文責:NAKIMI